国内株式インデックスファンドがベンチマークにしている指数(「TOPIX(東証株価指数)」)の過去のデータを使って一括投資と積立投資の成績を5年、10年、15年で比較してみました。

一般的には、お金をより長く働かせられる一括投資のほうが合理的だと言われています。

その一方で、株価が停滞していたイメージの強い国内株式では積立投資も健闘しているのでは、という気もしますが……はたして比較の結果は?


国内株式インデックスファンドの特徴

eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)』や『<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド』などの国内株式インデックスファンドは、東京証券取引所第一部に上場されている全銘柄を対象にした「TOPIX(東証株価指数)」(配当込み)に連動する投資成果をめざします。

2022年1月末現在、ベンチマークの指数には2,181銘柄が組み入れられています。

TOPIX(東証株価指数) 業種別構成比


国内株式の一括投資と積立投資の成績は?

一括投資は最初から元本をすべて投資します。積立投資は期間中、毎月1万円ずつ投資していきます。

5年(2017年2月末~2022年1月末)の成績は、元本60万円に対し一括投資の評価額は829,066円(収益率 38.2%)積立投資の評価額は712,308円(収益率 18.7%)でした。

国内株式 一括投資と積立投資の成績【5年】

10年(2012年2月末~2022年1月末)の成績は、元本120万円に対し一括投資の評価額は3,380,376円(収益率 181.7%)積立投資の評価額は1,867,287円(収益率 55.6%)でした。

国内株式 一括投資と積立投資の成績【10年】

世界的な金融危機であるリーマン・ショックをはさんだ約15年(2007年2月末~2022年1月末)の成績は、元本180万円に対し一括投資の評価額は2,657,146円(収益率 47.6%)積立投資の評価額は3,361,147円(収益率 86.7%)でした。

国内株式 一括投資と積立投資の成績【15年】

上記の試算は、大和アセットマネジメントの「iツール」のドルコスト平均法シミュレーションを利用しています。

過去のデータは将来の運用成績を保証するものではありません。シミュレーションの結果が良好なのは世界的な金融緩和の恩恵もあり過信は禁物です。


国内株式 まとめ

金融緩和の追い風もあったからか、国内株式は思いのほか好調な成績でした。

過去5年、10年では一括投資が優勢でしたが、リーマン・ショックを含む過去15年では積立投資が一括投資を上回る成績になっています。後年の回復を信じるなら、相場が低迷しているときこそ投資のチャンスが眠っているのかもしれませんね。

投資信託を利用した定額の積立投資の場合、基準価額が下がっているときはより多くの口数を購入できて、平均購入単価を引き下げることが期待できます。

定額の積立投資なら安いときに多く購入できます

積立投資には少額からスタートできてリスク資産の値動きに徐々に慣れていけるというメリットもあります。

資産「2000万円」づくり 手堅い投信の長期積み立て(NIKKEI STYLE)

まとまった資金がある場合でもリスク資産の運用に不慣れなら部分的に一括投資と積立投資を組み合わせるという折衷案も有用かもしれません。あるいは分割して毎月の積立額にプラスするという投資信託クリニックのアイデアも面白そうです。

月10万円のがむしゃら「つみたて投資」より、月5万円プラス300万円の「拡大つみたて」のほうがおすすめ(投資信託クリニック)

冷静な判断力を保つには、預貯金等の安全資産や生活防衛資金を十分に確保することも忘れないようにしたいです。

少子高齢化の影響を受ける国内株式については悲観的な見方もある一方で、日本に暮らし日本円を使って生活をしている以上、そこそこの比率で持っておくべきだという意見もあります。

資産運用で「日本株を40%も持っていい」と考える逆説的な2つの理由(ダイヤモンド)

資産の大部分を投資信託や株などのリスク資産に回しているなら、円建ての資産もバランスよく持つというのは納得できます(ダイヤモンドの記事の筆者である山崎元さんは生活防衛資金は3ヵ月分で十分との見解)。

ただ、預貯金等の安全資産や生活防衛資金(1~2年分)をしっかり確保していれば相応に日本円を持っていることになりますから、その場合、国内株式は全世界株式インデックスファンドと同程度の比率(10%弱)でもいいのでは、とも思いますね。